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ほうずき


空き家の庭に何本もの真っ赤なほうずきが植わっていて、持ち主の方にお願いして持ち帰りました。水切りして小さなガラス瓶に挿し、食卓に飾りました。

小学1年生の孫娘が「これなあに」「なんだ知らないのか、これはほうずきって言うんさ」「袋の中に、何がはいっているの、ミニトマト?」これにはびっくり。


私が子供のころの遊びかたを語っているうち、孫が飽きてしまった。なかなかほうずきが鳴らせなかった思い出が蘇ってきた。ほうずき遊びを、孫に教えるのは不可能と悟った。我が家の庭に、ほうずきは無いことに気が付いた。売れてしまう前にあの空き家から根っ子ごともらって、来年は我が家で咲かせ、孫に教えようと思う。


さて、この空き家は、弊社のお客様のご実家である。お父上がホームに入って、お母様も同じホームに入ることになり空家になりました。

 ここで生まれ育ったお子様たちは、既にそれぞれ持家を構えて久しく、築40年を過ぎた古い住まいに帰って来る家族も無く、売却することに決まりました。


私共にもそのご相談が寄せられました。お客様は先ず、大手不動産業者に相談されたようです。不動産業ではない弊社ですが、時折このようなことが起こります。

その不動産業者が忙しいのか返事が遅く、親身になって相談に乗ってくれない等の不満が、不信感に発展しておりました。


不動産取引の免許を持たない弊社は、仕事柄、札幌圏に何社か懇意にしている不動産業者があり、適任と思う同じ区内の業者を紹介して、引き合わせ同席しました。

創業者の後継社長と経験豊富な専務が商談を進めます。二代目の社長は、冗談も世間話一つも言わないカチカチな人物ですが、気に入られて同業他社を退け、専任仲介の契約を勝ち取りました。よく出来たものだと感心しました。


その後数件のお客を空き家に案内出来たが、残念ながら、まだ契約にこぎつけられないまま二か月が過ぎました。持ち主と相談し、古びたクロスを貼替え、きれいに見せようとの依頼を受け、私共が二か月振りに現地を訪問しました。

鋏裁きの良い見事な松の木も心なしか寂しげで、ひと夏過ぎた庭は、雑草が生い茂り、主の不在はあからさまでした。

裏に回ると真っ赤なほうずきが5、6本、鈴なりの実をつけて感激。孫達に見せたい衝動にかられました。


仕事に戻って、鍵を開け家具家財がなくなって、きれいに掃除した空間をつぶさに点検し、

畳の傷みの少なさに、昔の人の生活ぶりに感心。

住まいも人と共に老いていく宿命を思い知らされます。

新しい買い手が、この住まいを生かしてくれることを願いながら、壁の寸法を測り始めました。いい人に買い取ってもらえるとうれしいですね。解体しないで下さい。


令和3年10月26日




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