とも寿司の大将

仕事を終えて、帰宅すると、玄関まで甘酸っぱいいい香りがしてきた。今日の夕食は手巻寿司と分かった。孫の「ともえ」が鉢巻をして、父親とテーブルいっぱいに用意をしている。

本日は、嫁の子育て休養日で、琴似のライブハウスに出かけたという。


ドアに「とも寿司」のポスターがあり「はやい、やすい、いいえがお」と書いてある。

早速、私も350㎜のきりんの発泡酒をもって、着席した。

「大将なにが出来るんだい」というと目の前のスーパーから買ってきた、まぐろ、イカ、タコ、カツオ、エビ、ブリ、などなんでも握りますという。


「まず、タコ、サビいりで」

「いや、さび抜きです」

「いや、ワサビ漬けてよ」

「ワサビは苦手」

「それじゃあ、すし屋の大将にはなれない」

「僕は、将来は漫画家だから、大将にはならなくていい」。


それでも、冷蔵庫からチューブのワサビをだして、父親に教わって、指の先にちょっぴりつけて、サビ入りになった。

大将とよばれて、気分を良くしている。子供が握るのでシャリは半分位だが、ふんわり握った感じがたまらなくおいしい。父親もべた褒めだ。


「イカ、たのみます」

「やあ、細いのでバラバラですが」

「まあ、にぎってみてよ」

「あいよ」

「なかなかいじゃないか」


太い北海縞エビが一尾あった。「次はエビね」と指さすと、

「大きすぎて握れません」

「大将なんとか握ってよ」

「無理です」

これは勘弁してやった。


「大将、いっぱいやるかい」

「まだ飲めません」

「そうだな」


そんなことをしながら、あっという間に350㎜の缶が無くなり、もう1本といきたかったが、孫に止められるのははっきりしているので、息子の作った湯豆腐の鍋を突っついて、私の夕食が終わりました。「ご馳走様でした」


そこに嫁が満足したような表情で帰ってきました。

「いらっしゃい、何握りますか」

孫の声が家の中に響きました。





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